【映画レビュー】ソーシャル・ネットワーク

前から見たかったのと、最近FBが話題なので観た

作品紹介

あらすじ

ハーバード大の一学生だったマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)とその友人たちがが、Facebookを立ち上げて世界的な成功を成し遂げるまでを描いた人間ドラマ。

感想

80点

ふつうに面白かった。スタートアップがめちゃくちゃな規模にスケールして成功した裏側の人間関係、自分の仕事にもつまされた…。

魅力① マーク・ザッカーバーグの強烈なキャラクター

事実は小説より奇なりとはよく言うが、この作品もとにかくマーク・ザッカーバーグのキャラがとにかく強烈(めちゃくちゃ)で面白い。

冒頭ボストン大の学生だった元カノに 「どうせボストン大だろ?それなら勉強しなくても問題ない」 と(悪意なく)言ってフラれたり、
ビジネスアイディアを盗まれたと訴訟を起こしてきたボート部のマッチョな双子に 「君たちが僕と同じ能力を持つというのは自由だが、僕はフェイスブックのことだけを考えていたい。君たちにその知性と創造性はない。つまり話を聞く気は無い」と裁判で言ってのけるシーンは普通にもはや痺れた。 (巻き戻して3回くらい観たくらいこの裁判のシーンはまじで最高なので、本当にみんなに観て欲しい)

いわゆる「優秀すぎて嫌なヤツ」なザッカーバーグだが、親友を失い、映画の最後では自分が作ったFacebookで振られた元カノに友達申請をする…なんやちょっと切ないやん…的な描き方をされていてフィンチャー憎いね!となった(事実と脚色については最後に記述)。

主役が本人に似すぎ

皆言ってるが主役のジェシー・アイゼンバーグがすごいザッカーバーグっぽい。(MITのプログラミングオタクっぽい)

ボート部のマッチョの双子

ザッカーバーグ以外のキャラではやっぱり彼らが強烈。 アーミー・ハマーって双子なんかいな…と思ったら1人2役演じてたらしい。すごいハーバードのボート部ぽかった。

魅力② 持てるものと持たざるものの対比

映画は中盤以降ザッカーバーグが抱える2本の訴訟を軸に物語が進む。

特に共同創業者でCFOだったエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)との溝が深まっていくのは観ていて本当に辛かった…。

作中で「君らが目指すのは100万ドルか?いや10億ドルだ」なんてショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)に言われて全く現実感が湧かないエドゥアルドと、どんどんその気になっていくザッカーバーグの「器の違い」がどんどん明らかになる。

広告を載せて早くマネタイズしようというエドゥアルドに対して、フェイスブックはすごくクールなんだ。広告なんてクールじゃない」と反論するザッカーバーグはすごくプログラマーっぽいし、見えてるなという感じで、逆にこの時点でエドゥアルドの限界も見えてたんだろうな、とまたまた辛い気持ちになった。

ザッカーバーグは金のためには友人への裏切りも辞さない冷徹なヤバイやつ」的な宣伝文句や評を見るけど、そもそも友達と始めちゃったのが間違いで、スタートアップとかどこもこういう感じなんやろうな…

魅力③ 監督 デヴィッド・フィンチャー

実話系映画をやるのが意外だったが、じわじわと陰鬱な気分にさせる暗い映像や神経質なシンメトリーな画やモーションカット盛りだくさんでとても満足。

おまけ

ザッカーバーグ(本物)が映画を観た感想を述べてる動画。 ゆうて映画は脚色もたくさん入っていそう。

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【映画レビュー】ラッカは静かに虐殺されている

今年断トツNo.1作品。 ほかの映画と一緒に比べてええんかわからんけど。

 

作品紹介

あらすじ

 シリア内戦にてISの首都とされたラッカ。ISの情報・メディア統制によりラッカの実情は国際社会に隠されようとしていた。これに反発した一般市民ジャーナリストたちは『ラッカは静かに虐殺されている(Raqqa is Being Slaughtered Silently.)』を結成し、国内外から命がけで故郷の実情をインターネットで発信し始める。RBSSメンバーの命をかけたメディア戦争を記録したドキュメンタリー作品。

感想

95点

映画と言っていいのかわからんが、現代に生きてる人全員必見。

ジャーナリスト達の覚悟と、報道を見たあとのやるせなさ

シリアがやばいというニュースだけはなんとなく知っていたが、何よりいまも起きている戦争・恐怖統治の実態がショッキングだった。 最近仕事でも「実態を具体的に知ってから知った気になれ…」と思ったがまさにそれ。

ISが兵士を募集するために公開処刑の様子や『神は偉大なり』と叫びながらぬいぐるみの首を切る少女の動画なんかを編集して公開するわけだが、全て今リアルタイムで起こっていることが衝撃的だし、一方でこれが戦争なんだ、と0.5%くらいわかった気になった。

そんな中で報道活動を続けるRBSSメンバーたちはめちゃくちゃかっこよくて敬意しか無いのだが、彼らは戦う覚悟が全く違う。

彼らはきっぱりと言う。

自分たちの父親と長兄を殺されようが、数名の仲間が殺されようが、我々がISに屈することは無い。

さらに国外亡命後もISがRBSSメンバーの暗殺計画を企てる中、主要なメンバーはより国際社会に訴えるべく公式に顔を出して活動を広げていく。結果2015年の報道自由賞を受賞するが、ISはメンバーの居場所を突き止め暗殺命令を下す。インターネットでその知らせをみたメンバーの腕と足が震えだすシーンも忘れることができない。

RBSSのメンバー自信も語るのだが、報道して実情を伝えることはできるが、ISを倒しても状況は正せない。(現に数百人のISメンバーを殺害するための空爆で数千人の市民が死んでいる。) 周りが状況を知った上でどうすれば問題を解決できるのか、もどかしさ・やるせなさが残った。   とにかく私みたいに戦争の実態を知らないひとは全員見るべき。

監督 マシュー・ハイネマン

デビュー作もメキシコの麻薬カルテルと民間自警団の戦いの実情を(これまた)命がけで撮影したドキュメンタリー。 こちらも骨太な内容で面白かったのでおすすめ。

Amazon Studio

Amazon Studioが制作した映画を初めて見たと思ったが全然そんなことなかった。

  • パターソン
  • ネオンデーモン
  • お嬢さん
  • セールスマン

2015年以降ガンガン制作してメジャーな賞も取ってるのね。これからも楽しみね。